天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

朝顔の歌(1)

大船フラワーセンターにて

 ヒルガオ科の一年草。わが国には、平安時代に中国から渡来した。従って万葉集にでてくる次の五首の歌の朝顔は、桔梗とか槿あるいは昼顔ではないかという説がある。


  萩の花尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花女郎花(をみなへし)また藤袴
  朝貌の花              万葉集山上憶良

  朝顔は朝露負ひて咲くといへど夕影にこそ咲きまさりけれ
                    万葉集・作者未詳
  展転(こいまろ)び恋ひは死ぬともいちしろく色には出でじ朝貌
  の花                万葉集・作者未詳

  わが目妻人は離(さ)くれど朝貌の年さへこごと吾は離(さ)かる
  がへ                万葉集・東歌

  言(こと)に出でて言はばゆゆしみ朝顔のほには咲き出ぬ恋も
  するかも              万葉集・作者未詳

この歌で、「朝顔の」は「ほ」にかかる枕詞になっている。


  秋はてて霧のまがきにむすぼほれあるかなきかにうつるあさがほ
                    源氏物語朝顔
  ありとてもたのむべきかは世の中を知らするものはあさがほの花
                    後拾遺集和泉式部