天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋風の里山(2)

座間谷戸山公園に

 ひさしぶりに神奈川県立座間谷戸山公園に行ってきた。小田急線・座間駅で下車。途中、星谷寺に寄ってみたが特段に変わった風情は見られなかった。
 公園を入ったところに立つエゴノキの実を食べにくるヤマガラの写真を撮る人たちがいた。私もチャンスを待ったが、直に移動するので撮れなかった。


     塀越えて柘榴の垂るる歩道かな
     仰ぎ見る宝篋印塔白むくげ
     里山ののつぺらぼうの案山子かな
     里山の風行く向きに芒垂る
     松籟の里山道の薮蚊かな
     池の面に螳螂もがく波紋かな
     ハロウィーンの南瓜売りだす花屋かな


  池の辺の観察小屋に入りたれど水鳥を見ず里山の秋
  水鳥のいまだ渡らぬ池の辺はかぼそき声にちちろ虫鳴く
  ヨシノボリ、ホトケドジョウの棲むといふ湧き水の谷カケスが騒ぐ
  園児らの朝の散歩か泣くもあり笑ふもありてこもれび小道
  里山の朝にひびかふ 間伐に切り倒さるるクヌギの悲鳴
  里山の芒の風に飛び立ちて池に溺るる若き蟷螂
  螳螂の力尽きたる池の面にさざ波たてて秋風の吹く
  里山の稲田の畦に立つ案山子目鼻口無くとほせんぼする
  轟然と電車過ぐれば戦ぎたり鉄路の垣のあさがほの花