古くはオオネ、スズシロと言った。なんともゆかしい名前。アブラナ科の一、二年生の野菜。中央アジアが原産という説あり。
死にたれば人きて大根煮(た)きはじむ 下村槐太
一夜寝て大根うまきおでんかな 長谷川櫂
いにしへはおほねはじかみにらなすびひるほし瓜も歌にこそよめ
小沢盧庵
夕されば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも
斎藤茂吉
宗次郎に
おかねが泣きて口説き居り
大根の花白きゆふぐれ 石川啄木
人一人大根引けり秋の野の光にはゆる不二の白雪
四賀光子
大根の一株ごとの葉のしげり斯かる無駄なき生あり此処に
鹿児島寿蔵
大根が身を乗り出してうまさうな肩から胸までを土の上に晒す
奥村晃作