天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春賦―下曽我―

曽我梅林

 久しぶりに訪ねた。JR国府津駅御殿場線に乗り換えるかバスでゆくのだが、そのどちらも三十分以上待つことになる。しびれを切らして歩くことにした。菅原神社、宝金剛寺、一徳寺、別所梅林、原梅林、城前寺、宗我神社、中河原梅林とたどった。白梅が目立つが、紅梅はこれからという風情。天気晴朗にして、梅林の梢はるかに冠雪の富士が望める。観光パンフレットに掲載されている典型的な光景である。
 毎年、建国記念日には、原梅林で流鏑馬が開催される。今年は雨が降ったため、延期されて二月十三日になった。以前に一度見に来たことがあり、このブログ(2006年2月11日)でも紹介した。


     立春や撫で牛まろくうづくまる
     菅公の祀り絶やさず曽我の春
     撞き終へし鐘にしづまる梅ま白
     藁束を根方に白き梅の花
     梅林のお茶一杯を皺手かな
     流鏑馬の道の分てる春田かな
     あづさゆみ春の流鏑馬不二の峰
     紅梅や曽我兄弟の墓処
     橙のかがやきまぶし雪の不二
     竹林の赤らむばかり梅の花
     白梅の梢にかすむ雪の不二
     とりとめもなき探梅の白なりき


  遠目にはとりとめもなし梅林の白うすぐもる下曽我の春
  やどり木をあまた付けたる大欅石の鳥居の下に見上ぐる
  梅林に遺伝子組換およぶらし阻止せむとする看板の立つ
  杖つきて梅林をゆく老人は明日のわが身か追ひ越しがたき
  梅林を歩き疲れて国府津まで増発バスはわがひとり乗る