天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

横須賀菖蒲園

横須賀菖蒲園にて

 JR横須賀線の「衣笠駅」で下車、池上経由横須賀駅行のバスで、池上中学下車、徒歩15分のところにある。菖蒲園という名がついているが、ここは知る人ぞ知る藤の花と石楠花のみごとな庭園でもある。しょうぶまつりが、6月1日から30日にかけて開催される。この期間には、衣笠駅と菖蒲園とを結ぶ直通バスが運行される。入園料は、大人300円。花菖蒲には、雅な名前がついている。初鏡、雪姫、小雪路(こゆきぢ)、涼夕(りようせき)、磯辺、清少納言、白竜の爪、深吉野 等々。
 ほととぎすがしきりに鳴いていた。菖蒲との取り合わせは、万葉以来の古典的風景である。


     咲き揃ふまでは待てざり菖蒲園
     その昔(かみ)の「城の腰堰」ほととぎす
     ひと畝は初鏡とふ花菖蒲
     蛇の目傘ならべて干すか花しやうぶ
     黄の蘂に黒き虫這ふ花菖蒲
     鉢植のまこと小さき月見草
     しやうぶ田の泥掻き鳴らす紅たすき
     薫君白のにほへる花しやうぶ
     バス待ちて「古志」を読みをりほととぎす
     煙草吸ふ老婆がふたり時鳥


  「薫君」「清少納言」「美吉野」と王朝しのぶ花菖蒲園
  赤襷もんぺ姿のをみならが菖蒲田に入り草取りをする
  ほととぎすしきりに啼けばあやめ草日に異(け)に咲きて
  いにしへ思ほゆ


  たばこ吸ふ老婆と離れバス停のベンチに坐り時鳥聞く