天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花菖蒲

横須賀菖蒲園にて

 菖蒲は、サトイモ科の多年草。北海道から九州まで、東アジア、インド、北米の小川や池などの水辺にはえる。根茎には芳香があり薬用とされる。古くはアヤメと呼ばれた。


     女傘借りて見てをり花菖蒲     清水基吉
     わかれわかれになりて歩きぬ菖蒲園
                    長谷川かな女


  時鳥鳴くや五月の菖蒲草(あやめぐさ)あやめも知らぬ
  恋もするかな         古今集・よみ人知らず

                  
  万代にかはらぬものは五月雨の雫にかをる菖蒲(あやめ)
  なりけり             金葉集・源 経信

                     
  花菖蒲かたき蕾は粉しろしはつはつ見ゆる濃むらさきはも
                       木下利玄
  宇治川の山蔭にして菖蒲花舟に植ゑしを水に浮けたる
                       中村憲吉
  濃艶に咲きて日に照る花菖蒲風ふきくれば紫に揺る
                       大岡 博
  菖蒲(あやめ)見んと遠くも来たり堀切の古りし板橋
  ながきを渡る               窪田空穂