天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨の晴れ間

片瀬海岸にて

 湘南海岸を歩いていていつも不思議に思うのは、休日平日を問わず、黒いウェットスーツを着たサーファ達が、朝から波乗りに興じていることである。どんな職業の人たちなのか。午後から夜にかけて勤務の職業なら、出社の前に遊べる。あるいは夜勤明けに遊ぶということも。
 サーフィンの起源は、ハワイ。1908年、オーストラリアにクラブができてから、スポーツとして広まった。日本では、1960年代以降に普及、1965年には日本サーフィン連盟ができた。翌年、第一回全日本サーフィン選手権大会が開催された。
 すごいサーフィンがあることを知ったのは、米国映画『ビッグウェンズデー』(1978年制作)を見た時であった。サーフィンのシーンは、ハワイのサンセットビーチで撮影された。ビッグ・ウェンズデーとは、水曜日にやって来るという世界最大の波のことであった。


     放射能測りて片瀬海開き 
     波に乗りサーファの着く渚かな
     犬たちがボール追ひ駆く夏の海
     砂浜に鉄骨組みて海の家
     江ノ島へ梅雨の晴れ間の渡し船
     荒波やアウトリガーのカヌー漕ぐ
     緑陰や森の小径と名付けたる
     園芸種百合の切花濃く匂ふ
     ひときはに暑き日ありて夏至と知る
     子がこのむパステル買ひに夏の朝
     夏草の玉縄城址蛇と遇ふ
     竹林のしきりに騒ぐ梅雨あらし
     鳥のみが知る道の辺の桑いちご


  鳩六羽片瀬の浜に降り立ちて何をつひばむ朝の潮騒
  すず風の梅雨の晴れ間をよろこびて犬遊ばせる片瀬西浜
  六人が一人一頭犬つれて片瀬の浜を縦列にゆく
  釣竿の下に寝そべる野良猫は釣果を待ちて舌舐りすも
  潮風に実はふとりつつ紅いろの散り際あはれ浜茄子の花
  注連張れる銀杏大樹をとり囲みピンクの絵馬のあまたかかれる