天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蕎麦

わが食卓より

 中央アジア原産、タデ科一年草。わが国に渡来した年代は定かでないが、相当古い時代に遡るようだ。年二期、春蒔きの夏蕎麦と夏蒔きの秋蕎麦がある。やせ地でも収穫できるので、日本人には、米や麦と共に重要な食料。澱粉が主体だが、高血圧症に効くルチンを含む。
俳句の季語では、蕎麦の花(秋)、蕎麦刈(秋)、蕎麦掻(冬)などがある。蕎麦掻は、蕎麦粉を熱湯で練ったもので、だし汁に浸したり、醤油をかけたりして食べる。


     蕎麦掻の湯をこぼしたる雪の穴   長谷川櫂


  そば湯にし身内(みぬち)あたためて書き物を今一息
  (ひといき)と筆はげますも       伊藤左千夫


  目にたちて茎立赤し山畠の蕎麦は大方実となりにけり
                      土田耕平
  新蕎麦の香りよろしみ秋の店に昼酒を酌む目のうるむまで
                     佐佐木幸綱