天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山百合

横浜市舞岡公園にて

 日本特産のユリ。北海道、関東地方、北陸地方を除く近畿地方以北の山地に分布する。多糖類の一種グルコマンナンを多量に含み、縄文時代には既に食用にされていたという。次の万葉集の歌の「草深百合」や「さ百合」は、山百合のことらしい。


  道の辺の草深百合の花笑みに笑みしがからに妻といふべしや
                  万葉集・作者未詳
  油火の光に見ゆるわがかづらさ百合の花の笑まはしきかも
                  万葉集大伴家持
  なつかりの背子ふみしだきわくる野にしほれやすらむ
  さゆりばの花            殷富門院大輔


  潮満てば野島が崎のささ百合葉に波越す風の吹かぬ日ぞなき
                      源 俊頼
  強き香にわれを酔はせむたくらみか君がもて来し山百合の花
                      吉井 勇
  内陣のひだりに右に供花いく種山百合の香のもっともつよし
                      土岐善麿