天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

瓢箪

座間谷戸山公園にて

 ウリ科のつる性一年草、ユウガオの一変種。雌雄同株。果実は中間がくびれ、成熟すると果皮は毛が落ちて硬くなる。水に十日ほどつけてから果肉を取り去り、乾燥させて酒器などに用いる。漢字の「瓢」は「ひさご」を、「箪」は竹製の丸い飯櫃を、意味している。俳句では、秋の季語「ふくべ」の傍題。


     人の世に尻を据ゑたるふくべ哉   与謝蕪村
     くくりゆるくて瓢正しき形かな   杉田久女
     昼寝して顔のかなしき青瓢     森 澄雄
     障u瓢ゆるる彼方も大和かな     小川春子
     瓢箪に小さな口や秋の風      長谷川櫂


  月夜よし二つの瓢(ふくべ)の障u瓢あらへうふらへうと
  見つつおもしろ             北原白秋


  胴くびれ熟れたる瓢(ひさご)いくつ垂りこの村に嫁して
  くる女無し               斎藤 史


  あをあをと棚より垂るる瓢箪は幼き胴のくびれそめたり
                      福元正実