天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

横浜市東俣野の田園にて

 かぶ、かぶら。アブラナ科の二年草。南欧アフガニスタンが原産地という。葉は菜に似て大きく、根は多肉多汁でともに食用になる。古名は「すずな」、上代には「あをな(蔓菁)」と言った。大蕪と小蕪があり、漬物や煮物にして食べる。


     木曽駒に雪きて蕪もろ手抜き     下田 稔
     籠に盛るかぶらや雪の羽黒道     池田義弘


  食薦(すこも)敷き蔓菁煮持ちこ梁(うつはり)にむかばき懸けて
  息(やす)むこの公(きみ)     万葉集・長忌寸意吉麿


  地面(じべた)踏めば蕪みどりの葉をみだすいつくしきかも
  わが足の上                北原白秋


  前畑にふかぶかと山の日がぬくし老が着ぶくれて蕪をひくも
                       臼井大翼
  山の上に吾に十坪の新墾あり蕪まきて食はむ飢ゑ死ぬる前に
                       土屋文明
  大まかに冬の蕪を切りてゐる糊口といふもみづみづしけれ
                       安永蕗子