天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉狩(3)

鎌倉獅子舞・紅葉谷にて

 鎌倉駅から京急バスに乗って鎌倉宮まで行き、そこから瑞泉寺に向かって歩く。二階堂川にかかる通玄橋を渡る手前で左の道をとる。右側に沿って山道に踏み入る。獅子舞、紅葉谷と続く。先日このルートを逆方向から降りた時は、まだ紅葉は見られなかったが、今回は、見事な紅葉の木立になっていた。朝日に輝く紅葉を堪能しつつ谷を登って山頂を経由、天園から覚園寺に出た。その庭も紅葉していた。


     谷底にのけぞりて撮る紅葉かな
     紅葉谷のぼれば空に白き富士
     名にし負ふ木立なりけり紅葉谷
     天園を目指してのぼる紅葉谷


  獅子舞とふ谷戸に朝日のさし込みて艶きはまれり
  もみぢの木立


  谷底にのけぞりて見る紅葉は燃えひろがれる冷たき炎
  朝陽さし杉の林の息吹見ゆ冬ふかまれる鎌倉の山


紅葉狩を詠んだ和歌をあげておこう。

  春日野に時雨ふる見ゆ明日よりは黄葉挿頭(かざ)さむ高円の山
                    万葉集・藤原八束
  山里の紅葉見にとや思ふらむ散り果ててこそとふべかりけれ
                   後拾遺集藤原公任
  時雨れゆくかたのの里のもみぢがり頼むかげなく吹く嵐かな
                    夫木抄・源 俊頼