天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

小春日の鎌倉

鎌倉佐助稲荷

 極楽寺から大仏の裏山を通って佐助稲荷へと降りた。この稲荷神社は、鎌倉に幕府を開いて、初期の目的を達成したお礼として、源頼朝畠山重忠に命じて、建久年間(1190)にここを霊地と定めて稲荷の社殿を造営させたという古い由来を持つ。本堂には燈明が絶えず点されていて、よく手入れがされている。ハイキングコースに入っているせいもあって参拝者も絶えないようだ。「出世稲荷」の別名が人気をよんでいるのかも。
また別の日には、鎌倉の裏山になる祇園山ハイキングコースを歩いた。これは高時腹切やぐらから登って八雲神社までの稜線をたどる山道である。師走も押し迫った時期であったが、残りの紅葉の美しい場所があった。


     杜鵑草菊にくははる極楽寺
     阿仏尼の住ひし谷戸の小春かな
     年暮れし高き一位の枝を伐る
     銅像の将軍若し紅葉狩
     年暮れて残るもみぢの美しき
     楠若葉新羅三郎の手玉石
     新調の玄関ドアに松飾り
     復興の兆しまだ見ぬ去年今年


  駆除すべき台湾リスと訴ふる佐助稲荷のふたつ行燈
  「佐助稲荷神社」の文字は並み立てる赤き幟を白く染め抜く
  江ノ電の風に揺れたり店先の垣根にかかる「おしるこ」の旗
  行き違ふ電車を待てばまなかひに七里ケ浜の朝日まぶしき
  先細に見ゆれば馬は落ち着かぬ楠の並木の流鏑馬の道
  何ゆゑに舌の裏まで噛むのだらう?オンザロックにバーボンを飲む