横須賀軍港めぐり
以前に横須賀の米軍基地構内を見学した。その時の目玉は、空母ジョージ・ワシントンの甲板などを歩いて戦闘機やカタパルトを見られたことであった。今回は、横須賀港を船で巡って停泊中の各種艦船の役割を知ることができた。周知のように横須賀は、米国海軍第七艦隊の基地でもある。艦隊の機能を保持するための日常業務が淡々と行われている。わが海上自衛隊との連携も重要な業務であり、この日も日本のイージス艦が米軍側の埠頭に停泊していた。また港の沖では、米軍の駆逐艦二隻にミサイルの積み下ろし作業が行われていた。
海上自衛隊の潜水艦には、巡洋艦と違い、番号も名前も書かれていない。人が出入りする甲板の口は緑色の覆いで隠されていた。ガイドの説明によると、ここの鋼鈑の厚さなどを見ると、潜水艦の潜航深度が分ってしまうからだという。「鉄の鯨」と呼ばれることもあるらしい。
イージス艦が搭載しているフェーズド・アレイ・レーダの性能は、飛来するミサイル百発を瞬時に判別・追尾できるとのことで、その価格は五百億円。イージス艦の値段三百億円よりもはるかに高い。イージス艦の保有数の第一位は米国で、80隻。次いで日本の8隻とのこと。ちなみにイージスAegisとは、ギリシャ神話の中でゼウスが娘アテナに与えたという盾(胸当)のこと。搭載する大砲の性能の説明もあった。砲弾は信じられないほどの距離を飛ぶ。
この日に外観を見られた艦船は、多用途支援艦「えんしゅう」、ホテルシップ「APL40」,イージス艦「霧島」、空母ジョージ・ワシントン、強化プラスチック製の米国掃海艦、「さわゆき125」、「わかさ5104」、「やまゆき129」、「はたかぜ171」、「ときわ423」など。
もう一つ得られた面白い知識は、各国の戦艦の色は、各国の海の水平線の色に合せてあるということ。
立春やクレーンに電線ととのへて
立春や横須賀にあるイージス艦
立春や鉄のくじらの潜水艦
立春の晴れたる空を見上げたり横須賀軍港めぐりの船に
番号も名前も見せぬ潜水艦その性能を知られざるため
甲板の出入口をば隠したり潜航能力が判るといへば
近づくは米海軍の警備艇横須賀軍港めぐりの船に
フェーズド・アレイ・レーダー一基五百億円艦船よりも
高価なりけり
ミサイルの積み下ろしする艦船は横須賀港の沖に泊りて
空を飛び海に着水せし後は魚雷になるとふミサイルはあり
無造作に埠頭に置けるミサイルの白き箱見ゆわが自衛隊
核弾頭にあらずや 沖に積下ろすミサイルありとガイドは
言へり
百発のミサイル来れど見分くといふイージス艦のたのもしく
見ゆ
日米が共同備蓄の軍用品 吾妻倉庫地区に秘匿す
自衛隊初の女性艦長のつとめし艦は「わかさ」といへり