天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

椿

大磯・島崎藤村邸にて

 ツバキ科の常緑高木で日本の代表的な花木でう。五百余りの園芸品種がある。日本に自生するのは、ヤブツバキ、ユキツバキ、ヤクシマツバキの3系統が知られている。花期は普通、2月から4月。


     鵯の嘴入るる椿かな          浪化
     椿落ちてきのふの雨をこぼしけり    蕪村
     いま一つ椿落ちなば立去らん   松本たかし


  吾妹子を早見浜風大和なる吾をまつ椿吹かざるなゆめ
                 万葉集・長皇子
  あしひきの八峰(やつを)の椿つらつらに見とも飽かめや
  植ゑてける君        万葉集大伴家持


  渓流のたぎちに低く迫り咲く赤き椿は水に散るべし
                     初井しづ枝
  脣を焚くにはあらぬくれなゐの椿を愛す燃え尽きるまで
                     福島泰樹
  古家の古庭に咲くくれなゐの椿折りきて壺に挿す妻は
                     宮 柊二
  たまきはる内の光を明かすごとひらく椿の花のしろたへ
                     尾崎左永子
  わが死後の骨の壺かもひとへなる椿あかきをたつぷりと挿す
                     小中英之


     藤村邸裏の戸口の白椿
     時彦の句碑にちるなり紅椿