天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

孔雀

野毛山動物園にて

 キジ科の鳥。サソリなどの毒虫や毒蛇類を好んで食べるため益鳥とされる。さらにこのことから、邪気を払う象徴として孔雀明王の名で仏教の信仰対象に取り入れられた。羽が青藍色のインドクジャクは、インドの国鳥。


  さやさやと戦がせひらく羽の音孔雀の意志をわれは
  ききたり             初井しづ枝


  花闌けし椿の蔭に孔雀をりいま擾乱のうつつに遠き
                    大野誠


  繁殖期すぎし孔雀らの棲む檻は砂のにほひの暑くなりたり
                    佐藤佐太郎
  驟雨やまざるままに花街(くわがい)をもとほれる青年
  印度孔雀のごとし           塚本邦雄


  白孔雀羽ひろげつつ日の中に可染(かぜん)の韻(ひびき)
  こぼれ出でたり            矢澤靖江


  園内にとき放たれて孔雀らはそこにかしこに羽根
  ひろげたり