天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

犬の歌

老犬レオ

 西洋では石器時代、東洋では縄文弥生時代に、犬の存在が知られるという。飼犬は日本書記に見え、平安時代の放し飼い、鎌倉時代の犬追物、闘犬の流行などが文献に出ている。万葉集には三首(長歌2、旋頭歌1:以下に紹介)詠まれている。世界で犬の種類は、約400種という。ビックリ!


  垣越ゆる犬呼びこして鳥狩(とがり)する君青山のしげき
  山辺に馬やすめ君       万葉集柿本人麻呂


  思ひくまの人はなかなかなきものをあはれに犬の主を
  知るらむ              拾玉集・慈円


  里びたる犬の声にぞ聞えつる竹よりおくの人の家居(いへゐ)は
                  拾遺愚草・藤原定家
  さ夜更けて宿もる犬の声たかし村しづかなる月の遠(をち)かた
                    玉葉集・伏見院
  音もなく夜は更けすぎて遠近の里の犬こそ声あはすなれ
                   玉葉集・藤原為子
  さびしくてわがかい撫づるけだものの犬のあたまはほの
  あたたかし               岡本かの子


  耐へ難くひびき来るなり夜の庭にいつまでも犬の骨を噛む音
                       岡野弘彦
  犬の仔を犬の乳房に押しつけて少年はたのし手を一つ拍つ
                       相良 宏


 ずっと以前からそぐわないなあと感じていたのだが、「イヌ」という言葉の響きが良くない。語尾の「ヌ」という音の印象が悪いのである。「ネコ」は全然気にならない。


 ところでブログ 「leoleoleoyaの日記」http://d.hatena.ne.jp/leoleoleoya/ 
に大いに感動させられた。レオという老犬の介護日記といえばよいか。日常生活の中でのレオに対する作者の心遣いに頭が下がる。人の介護もこうありたい。作者からお借りした右上の画像が老犬レオである。介護に関心ある方はぜひ一読されたい。