2012-10-01 雲(3) ここでは現代短歌に詠まれた雲の例をあげる。 山の彼方に雲ゆく見れば訪ひがたきわがみどり児の 墓辺思ほゆ 大西民子 うつうつと地平をうつる雲ありてその紅はいずくへ搬ぶ 岡井 隆 ただよへる雲の境がけぢめなくにごりて暑き午後となりたり 佐藤佐太郎 黄の雲の沈めば風のはひりきて潔らかになりし編集室か 篠 弘 雲踏みてわれは行きたしはつなつの空の奥なる青の画廊へ 小島ゆかり 後部座席のガラスに雲を満載しライトバン一台悠然とゆく 渡辺礼子 掴み得るほどに雲あり窓のそと湿りてけふの咽喉は安けし 春日井建