秋雑詠(1)
やっと秋らしくなった。田んぼの稲が実り、赤とんぼが飛びはじめた。里山の田んぼの畦には、案山子が並んで、訪れる人たちを楽しませている。園児らの格好の遠足場所にもなっている。困ったことに台風も続けてやってくる。東京の水不足は解消されたようだが、地球の気候は、世界的に極端な変化をするようになった。人類が使用するエネルギーの量が気候を大きく左右する。今までに経験したことのないような災害が起こりつつある。
稲架(はざ)の田や雨後のひこばえ盛んなる
園児らが歓声あぐる案山子かな
東海道一里塚跡曼珠沙華
茎清し鉄砲宿の曼珠沙華
秋あかね湘南平をとびはじむ
帆柱の鳴る音すごき野分かな
人恋しわが身めぐりの赤とんぼ
参道の紅葉にむすぶ御籤かな
苔むせる参道奥にしづもれり曹洞禅宗天嶽院本堂
電線が青空よぎる相模線鉄路の傍のキクイモの花
相模線寒川駅を近く見て黄をかかげたるキクイモの花
里山の池のほとりに陣取りてカメラ構へる翡翠の朝
いくつかの虫の骸のしぼみたり腹の満ちたる朝のささがに
里山の秋は園児らひきつれて田の畦道の案山子見にゆく
渋柿の熟るるを待つか古民家に朝な夕なの山鳥のこゑ
淡青の空に浮かべる秋の雲ただよひやまぬわが心かな
血湧き肉躍る活躍イチローのヤンキースへの移籍後の日々
くぐもりて烏啼くなる高麗山の頂きに咲く白曼珠沙華
大方は赤きが咲ける彼岸花白きがあれば近寄りて撮る
蜘蛛の囲のあまたを撮れど焦点の合はぬがくやし大磯の山
いつの世に根を下ろしけむこの年も鉄砲宿に咲く彼岸花
黒潮に沿ひて台風過ぐるらし帆柱の鳴るヨットハーバー