天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

レモン

わが食卓より

 インド原産のミカン科シトロン類の常緑低木。青いうちに採取して色だしをする。クエン酸、ビタミンCを多く含む。俳句では秋の季語。


     いつまでも眺めてゐたりレモンの尻  山口青邨
     鋭角に舌を削つてゆく檸檬      櫂未知子


  夜ふかくしぼるレモンの滴滴の一滴ごとにつのりくる哀
                   山田あき
  はつなつと夏とのあはひ韻律のごとく檸檬の創現(あ)るるかな
                   塚本邦雄
  目の前にありて遙かなレモン一つわれも娶らむ日を怖るなり
                   寺山修司
  四つ割りにしたるレモンの切り口のみづみづと黄の半月をなす
                   大西民子
  つくづくとむすぶことなき念いにて檸檬たぐさに霜夜の韻(ひび)き
                   坪野哲久
  レモン垂らしし水にひたせる黒髪よひしひしと遠し髪の毛の星
                   前川 緑