天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ナデシコ

平塚市河川敷の公園にて

 ナデシコナデシコ属の植物でカワラナデシコの異名もある。またナデシコ属の植物の総称。北半球の温帯域を中心に約300種が分布する。ヒメハマナデシコとシナノナデシコは日本固有種。美女の面影を映す花として万葉後期に特に愛され多く詠われた。秋の七草の一つ。


     撫子や波出直してやや強く     香西照雄
     大阿蘇の撫子なべて傾ぎ咲く    岡井省二
     撫子やあやとりのやうに会話して  藤田直子


  野辺見れば 撫子の花 咲きにけりわが待つ秋は 近づくらしも
                    万葉集・作者不詳
  秋さらば見つつ偲へと 妹が植ゑし宿の石竹花(なでしこ)咲きに
  けるかも               万葉集大伴家持


  わが屋戸に まきし撫子 いつしかも 花に咲きなむ なそへ
  つつ見む               万葉集大伴家持


  久方の 雨は降りしく 撫子が いや初花に 恋しきわが背
                     万葉集大伴家持
  なでしこが花見る毎にをとめ等が笑(ゑま)ひのにほひ思ほゆるかも
                     万葉集大伴家持
  うら恋し わが背の君は 撫子が 花にもがもな 朝な朝な見む
                     万葉集・大伴池主
  草の花は、なでしこ。 唐のはさらなり、大和のもいとめでたし
                     枕草子 清少納言
  ゆかしくば行きても見ませゆきしまのいはほにおふる撫子の花
                    金槐和歌集源実朝