天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋雑詠(5)

二宮町吾妻山にて

 江ノ島、二宮海岸、吾妻山 などを歩いて、秋の深まりを体感しようとしたのだが、山の紅葉が始まっていないので、晩夏としか思えない。磯釣りの様子を見ていても鯖や鯵がどんどん釣れるといった状況ではないので、やはり物足りない。なお、この記事は、十月半ば頃のものである。


     満ち潮の風に吹かるる芒かな
     草叢にたはむれ秋の蜆蝶
     野良猫が朝をまどろむ秋日向
     秋まつり大道芸も島に来て
     実柘榴に怒りの顔のありにけり
     石蕗のつぼみに秋の朝日影
     落葉積む桜の根方縄囲ひ
     朝光に蜘蛛の囲光る吾妻山
     木洩れ日をよろこぶごとし秋薊

     
  釣舟を黒く浮かべる海坂に満ち潮きたる朝神無月
  来る潮と返る潮とが鬩(せめ)ぎ合ひ怒濤渦巻く岩礁の岸
  まなかひの海のはたてに薄黒く富士はかすめりまだ雪を見ず
  錠前のあまたかかれる鉄柵にまもられて鳴る龍恋の鐘
  腰までを波に洗はれ釣る人の朝影黒き二宮の浜
  釣人が竿をあぐれば三羽四羽釣果いかにとカモメ飛びくる
  たまごかと見紛ふ石のあまたあり白波しぶく二宮の浜
  頂上の草原すべる子供らの声のひびかふ秋吾妻山
  酔ひて見るMLBの好プレー胸ポケットに氷片は入る
  無能なる日銀総裁居据はりて衰退すすむ輸出産業
  国捨つる人の多きはポルトガル、スペイン、ギリシャ
   職を得られず