菊
菊の品種は色も大きさも多様である。日本には奈良時代に中国からもたらされたというが、万葉集には詠まれていない。平安時代からは盛んに詠まれた。別名に、翁草、齢草、千代見草、黄金草 などがある。毎年11月3日の文化の日を中心に、各地で菊花展が開かれる。「菊人形」が晩秋の季語で、「菊花展」は傍題。
菊人形見て過ぎし世に遊びけり 百合山�晧公
菊人形武士の匂ふはあはれなり 鈴木鷹夫
朝の冷え未だも退かず裾さむし花屋の土間を占むる菊の香
木下利玄
ひとところ蛇崩道に音のなき祭礼のごと菊の花さく
佐藤佐太郎
菊の花ひでて香にたつものを食ふ死後のごとくに心あそびて
佐藤佐太郎
厚物の菊おもおもと咲かしめて今は逝くべし日本の秋
仙田善雄
秋の土しづかに菊を咲かしめよ天地(あめつち)澄むと思ふ朝なり
馬場あき子
百菊の前過ぎにつつ百菊に百のまなこのありとおもへり
大塚布見子