天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水仙

二宮町吾妻山にて

 春を待つ花であるが、地中海沿岸が原産地という。シルクロードを経て伝来、野生化した。越前海岸、伊豆半島の爪木崎 などが群生地として有名。単に水仙といえば冬の季語だが、黄水仙や喇叭水仙は春の季語である。


     清浄な葉のいきほひや水仙花     涼莵
     水仙に日のあたるこそさむげなれ  大江丸
     水仙や背戸は月夜の水たまり     蒼虬


  冬の潮あたたかくして磯土に自生水仙のみどりひらめく
                   木俣 修
  朝あけて花ひらきたる水仙のひと日触れゐる傍(かた
  はら)の石             井上生二


  目ざむれば水仙の花が活けてあり死を呼ぶごとき寂し
  き花や             初井しづ枝


  萌えいづる春の水仙清々と宿怨一事水に流さむ
                   中川 昭
  暁の庭に水仙と梅の香のおのおのの高さ保ち競わず
                   大下一真
  「すんまへん」「かんにんどすえ」水仙の花はあっちと
  こっちを向いて          吉村明美