天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山葵(わさび)

NHK新日本紀行「天城越え」から

 アブラナ科多年草で日本特産。渓流に自生するか栽培される。年中採れるらしいが、俳句では春の季語になっている。傍題に山葵田、山葵沢、葉山葵、青茎山葵 など。


     山葵田の隙といふ隙水流れ    清崎敏郎
     紗のごとき雨来ては去る山葵沢  有馬壽子


  ちんばそにさけに山葵に給はるは春を寂しくあらせじとなり
                       良寛
  なまよみの甲斐の須成のよきをぢさ山葵持て来ぬ春日
  よろしみ               北原白秋


  しらじらとわさびの花の咲くなれば寂しとぞ思ふおのが
  往き来の               土屋文明


  葉山葵も藜(あかざ)の茎も酢に漬(ひ)でて貧しさたらふ
  春は来にけり             穂積 忠