天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

牡蠣(かき)

NHKテレビ放映の画像から

 イタボガキ科の二枚貝の総称。日本近海には約25種が棲息し、なかでもマガキは古くから食用にされてきた。岩に付着して生活するので、形状は一定でない。


     松島の松に雪ふり牡蠣育つ     山口青邨
     牡蠣の口もし開かば月さし入らむ  加藤楸邨
     橙の灯いろしぼれり牡蠣の上    飴山 實


  不定形の牡蠣が厨房(くりや)ににほひつつすこし風あり
  いま誰の死後             滝沢 亘


  つるされし筏の牡蠣は潮満つる時を待ちつつ春日にかわく
                     中村 達
  冬海に光の粒のきらめける午後遠く来て香る牡蠣食む
                     尾崎左永子
  殻固くその身縮めて如月の月照る海に牡蠣眠りいむ
                     石田比呂志
  如月の牡蠣打ち割れば定型を持たざるものの肉やわらかき
                     道浦母都子