桜の季節(3)
近くの林や遠くの山には、山桜が咲いているのが見える。山桜といえば、東逗子の神武寺までの山路が見どころと決めているので、出かけてみたが花は既に散った後であった。それなら、三浦半島随一の桜の名所、衣笠山は如何に、とタクシーで乗り付けたが、後の祭であった。実は、四月半ばに泊りがけで高遠の桜を見に行こうとしているのだが、花はダメかも知れない。
散らばりて鱗のごとし花びらは
神武寺の梵鐘の黙(もだ)躑躅咲く
足元に鳩の寄り来る桜かな
花ちりし後の祭やこの年は
葉桜を離るる花のはらはらり
葱を抜く能登はやさしや土までも
ちらばりて朝の日差にかがよへる鱗のごとき桜花弁
山桜すでに散り果て神武寺の梵鐘下につつじ花咲く
これからがさくら祭の期間といふ花ちる山に鶯のこゑ
花ちりし並木の枝につらなれるさくら祭の緋色提灯
花ちりし桜の下にたむろして酒酌み交はす衣笠の山
高遠の花の見頃をあやぶめり衣笠山の桜ちり果て