天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

メダカ

大船フラワーセンター(睡蓮の池)にて

 半世紀前までは、日本各地の小川や水路でよく見かけたものだが、現在はめっきり少なくなり、絶滅危惧種になっている。夏の季語だが、たまたま池で見かけたので、取り上げた。


     水底の明るさ目高みごもれり    橋本多佳子
     笹の葉に目高の鼻の流れよる     石橋秀野
     緋目高の生れていまだ朱もたず   五十嵐播水


  人間嫌いの春のめだかをすいすいと統べいるものに吾も
  まかれむ                寺山修司


  花すべてこぼしたあとの青空の水は目高を飼ひたさうなり
                     馬場あき子
  のぞき見る川面に写る吾が影が群のぼり来しメダカ散らしぬ
                       南 弘
  たまきわるゲノムあかるし水槽を泳ぐメダカの透明な腹
                      大森悦子
  孵りたる目高は透きて目のみなるガラスの中を目は進みたり
                      須田昌子