天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

牡丹(ぼたん)

大船フラワーセンターにて

 中国原産、薬用として栽培されていた。根が血行障害や鎮痛に効果がある。唐代以降に観賞用になり、日本には8世紀に渡来した。


     牡丹咲くすこし不安の水藻草    飯田龍太
     ぼうたんに腰をうづめて老夫婦   川崎展宏
     年齢の牡丹へかたむくにやあらん  川崎展宏


  動きゆくさ霧のなかにみづからの色深めゐる牡丹の花々
                     初井しづ枝
  精満ちて開きし牡丹ややありて老年の花という思い湧く
                     毛利文平
  その女(ひと)は夕べの鐘のやるせない哀傷 風に吹かれる牡丹
                     福島泰樹
  春雨の晴れまのみ寺しづかにて牡丹は花の時すぎにけり
                     上田三四二
  ぼうたんは狂はねど百花乱るれば苦しきに似たり恋ぞかがやく
                     馬場あき子