天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

つばめ

藤沢市新林公園にて

 漢字で、燕、乙鳥、玄鳥などと書く。春に南から日本に渡って来て、秋に南に去る。燕にとって最近の日本の都会は、まことに住みにくい。一軒家であっても軒先に巣をかけると、汚れることから除去されてしまう。


     蔵並ぶ裏は燕の通ひ道        凡兆
     人住んで燕すみなす深山かな     白雄
     この家に福あり燕巣をつくる   山口誓子


  口そろえ母の餌を待つつばくろよ平和はわれの幻想ならず
                     岸上大作
  たちまち朝たちまちの晴れ一閃の雄心としてとべつばくらめ
                     佐佐木幸綱
  電線のつばめら我を月旦(げつたん)すこころが狭く目が三角と
                     高野公彦
  日向の国夜の明けたれば仏生会の青苗の田に燕来てをり
                     伊藤一彦
  つやつやと紫紺の羽のかがやきに流れよつばめここ過ぎてなほ
                     今野寿美
  はつなつのつばめが空に描きたるそうしつという語はうつくしき
                     鶴田伊津