イチローを詠む(7)
マリナーズのホーム球場・セーフコフィールドで試合があるとき、イチローが守備につくライトの観客席最前列には、いつもICHIメーターの看板が掲げられている。毎年これを作っているのは、エイミー・フランシさんという女性である。年間200本安打以上を続けてきたイチローを見守り、毎年安打が出るたびに1を足すのである。テレビ画面に何度も映されるので、視聴者にもおなじみである。ヤンキースに移ったイチローが初めてセーフコフィールドにきてマリナーズと試合した時、ヤンキースのライトを守ったのだが、ジャンプしてエイミー・フランツさんとハイタッチした。エイミーさんは泣いていた。テレビを見ている私の胸にも熱いものがこみあげてきた。
イチローのピンストライプのユニフォーム黒田とともに
グランドにあり
ヘルメットとりて四方に頭(づ)を下ぐるヤンキースの八番
打者イチローは
ICHIメーターの看板裏にサインしてファンの婦人に
手渡しにけり
イチローが十一年を守りにしセーフコフィールド
エリア51
「いい夢を見させてもらった」イチローの移籍に言へり
アナウンサーは
イチローに別れを告ぐるシアトルのファンの涙のあつき夕暮