天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

楠若葉

小田原報徳神社境内にて

 楠は神社の境内でよく見かける。大木には神々しさがある。枝がよく張り、葉もよく茂る。芳香があるせいか、病虫害に強く寿命が長い。樹齢数千年というものも現存する。新葉は萌葱色でつややか。


     樟若葉樹齢隠れてゐたりけり   稲垣晩童
     西南の役見し大樹楠若葉     北澤瑞史
     樟若葉大きな雨の木となりぬ   森賀まり


  風のふくとき空深き音のする樟の若葉をたたずみて聞く
                    佐藤佐太郎
  野の景をなす一本の楠若葉焚刑のごと真陽を受けゐる
                     永廣禎夫