天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

千手観音

醍醐寺(BSアサヒ放映の画面から)

 すべてのものを同時に見、同時に救う働きをもつ。延命・減罪・除病の功徳がある。通常の像では手の本数が省略されているが、唐招提寺の木彫像は実際に千手になっている。


     千手即春の翼の観世音      川崎展宏
     千手観音遠近に揚雲雀かな      同上  
     観音の千手千眼春の雪        同上    
     前立(まへだち)の千手観音きりぎりす  同上


  まぎれ来しこの世の事とうべなひて千手観音に向ひ立ちをり
                     松坂 弘
  千手観音千手と言へど遊ぶ手の一手なからむことわれを搏つ
                    小野興二郎
  観音のかざせる千手(せんじゆ)高々とひとつは丸き宝珠をささく
                    大悟法 進
  千の手の救いもたらす観音にふつつかなわが掌を合せたり
                    森 佐知子