ユリ科の多年草。東北から近畿地方の山野の草地に自生している。鱗茎は扁球形で黄白色、苦味がなく食用になる。
記憶には星のごとくに咲きてゐし山百合もかの夏ほどは
咲きゐず 吉野昌夫
ゆうらりとわれをまねける山百合の夜半の花粉に貌塗り
つぶす 前登志夫
真白なる山百合咲ける草叢のむせる匂ひも恋しむわれは
永石季世
襤褸(つづれ)びと汗滂沱たる峠路に千の山百合揺れしならずや
向井毬夫
梅雨ぐもり深き日の三枝(さいぐさ)祭(まつり)にて万と
ささげし山百合にほふ 前川佐美雄
さねさし相模の臺地山百合の一花(くわ)狂ひて萬の花狂ふ
葛原妙子