天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

橋(2)

「美の巨人たち」の映像から

 橋の原型は、谷間を渡す倒木や河の中の飛び石であったろう。丸木橋や橋脚の原型になったはず。また木に垂れさがった蔓が吊橋に発展したと考えられる。


  人も馬も渡らぬときの橋の景まこと純粋に橋かかり居る
                    斎藤 史
  砂の上に箱おきて雷魚ひさぎ居る四ツ木橋は暑き夕光のとき
                    五味保義
  川上に橋かかりをり久しくもひと通らねばその橋さびし
                   前川佐美雄
  幾千の足音は石に滅びしをあかとき遠く橋かかりゐつ
                    清原令子
  永代橋ひとよのことは短くて一つの橋をいまに忘れず
                    坪野哲久
  さまざまな形の橋をわたりしがわたりて楽しき街あらざりし
                    坂田博義