天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

光(2)

NHKテレビ放映の画像から

 光の本質は、可視光線を主に赤外線、紫外線を含め、波長が約1ナノメートルから1ミリメートルの電磁波である。


  今朝の朝の露ひやびやと秋草やすべて幽(かそ)けき寂滅
  (ほろび)の光           伊藤左千夫


  しづかなる峠をのぼり来しときに月のひかりは八谷
  (やたに)をてらす          斎藤茂吉


  春ここに生るる朝の日をうけて山河草木みな光あり
                   佐佐木信綱
  光さへ身に泌むころとなりにけり時雨にぬれしわが
  庭の土               島木赤彦


  秋分の日の電車にて床にさす光もともに運ばれて行く
                   佐藤佐太郎
  水銀の如き光に海見えてレインコートを着る部屋の中
                    近藤芳美
  戸を引けばすなはち待ちしもののごと辷り入り来ぬ光
  といふは              宮 柊二


  男の胸は鋼のひかりもて鎧ふべし 血のなかの塩いたきかな
                    塚本邦雄