光(2)
光の本質は、可視光線を主に赤外線、紫外線を含め、波長が約1ナノメートルから1ミリメートルの電磁波である。
今朝の朝の露ひやびやと秋草やすべて幽(かそ)けき寂滅
(ほろび)の光 伊藤左千夫
しづかなる峠をのぼり来しときに月のひかりは八谷
(やたに)をてらす 斎藤茂吉
春ここに生るる朝の日をうけて山河草木みな光あり
佐佐木信綱
光さへ身に泌むころとなりにけり時雨にぬれしわが
庭の土 島木赤彦
秋分の日の電車にて床にさす光もともに運ばれて行く
佐藤佐太郎
水銀の如き光に海見えてレインコートを着る部屋の中
近藤芳美
戸を引けばすなはち待ちしもののごと辷り入り来ぬ光
といふは 宮 柊二
男の胸は鋼のひかりもて鎧ふべし 血のなかの塩いたきかな
塚本邦雄