天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

斎藤茂吉を詠む(2)

強羅の茂吉歌碑

 結社「アララギ」の下で茂吉の指導を受けた大勢の弟子たちがいたこと、また茂吉の歌に心酔した多くの歌人たちがいたことも、茂吉がよく詠まれる由縁であろう。


  恵まれて雲のかげもなき蔵王山頂茂吉の歌碑は聳えてありき
                   吉野昌夫
  寝ねぎはに読みつつさみし戦はぬ茂吉が兵を鼓舞する数首
                   丹波真人
  斎藤茂吉斎藤茂吉とつぶやきて教室に入り教室を出づ
                   清水房雄
  茂吉先生丁寧に聴診器当てたまひしこともおろそかならぬ追憶
                   樋口賢治
  蔵王山を相(あひ)へだて生(あ)しれ絆(きづな)思ふ斎藤茂吉
  佐藤佐太郎            秋葉四郎


  小さき脳をスライスにして染めているこの学生は茂吉を知らぬ
                   永田和宏


 右上の画像は、箱根の強羅公園にある茂吉の歌碑で、次のように書かれている。

    おのづから寂しくも
    あるかゆふぐれて雲は
    大きく渓に沈みぬ
           茂吉

強羅にあった斎藤家の山荘は、山形県上山市の茂吉記念館内に移設されている(2009年
11月11日のブログを参照)。