斎藤茂吉を詠む(2)
結社「アララギ」の下で茂吉の指導を受けた大勢の弟子たちがいたこと、また茂吉の歌に心酔した多くの歌人たちがいたことも、茂吉がよく詠まれる由縁であろう。
恵まれて雲のかげもなき蔵王山頂茂吉の歌碑は聳えてありき
吉野昌夫
寝ねぎはに読みつつさみし戦はぬ茂吉が兵を鼓舞する数首
丹波真人
斎藤茂吉斎藤茂吉とつぶやきて教室に入り教室を出づ
清水房雄
茂吉先生丁寧に聴診器当てたまひしこともおろそかならぬ追憶
樋口賢治
蔵王山を相(あひ)へだて生(あ)しれ絆(きづな)思ふ斎藤茂吉
佐藤佐太郎 秋葉四郎
小さき脳をスライスにして染めているこの学生は茂吉を知らぬ
永田和宏
右上の画像は、箱根の強羅公園にある茂吉の歌碑で、次のように書かれている。
おのづから寂しくも
あるかゆふぐれて雲は
大きく渓に沈みぬ
茂吉