天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

川(1)

相模川にて

 川、河に関係する歌語はいろいろある。いくつかあげておく。


   川の瀬、川瀬: 川底浅く流れの早い所
   滝川: 岩にせかれて流れの激しい所
   川隈: 川の曲がる所。
   川合: 川と川の合流点
   涙川: 涙が多いのを川にたとえた


  昔見し象(きさ)の小川を今見ればいよよ清(さや)けくなり
  にけるかも           万葉集大伴旅人


  信濃なる筑摩(ちぐま)の川の細石(さざれし)も君し踏みてば
  玉と拾はむ             万葉集・東歌


  うつせみは数なき身なり山川の清けき見つつ道を尋ねな
                  万葉集大伴家持
  玉島のこの川上に家はあれど君をやさしみあらはさずありき
                  万葉集・作者不詳
  ぬばたまの夜のふけゆけば久木(ひさぎ)生ふる清き川原に
  千鳥しば鳴く          万葉集山部赤人


  妹なろが使ふ川津(かはづ)のささら荻あしと人言(ひとごと)
  語りよらしも          万葉集・作者不詳