天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

モナ・リザ

画集から

 言わずと知れたレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた油絵の名画。モナ・リザの名声は、1911年8月にルーヴル美術館から盗まれたときに一段と高くなった。犯人はかつてルーヴル美術館に雇われたことがあるイタリア人であることが判明した。2年間にわたって自身のアパートに隠していたが、売ろうとして捕まった。しかし、イタリアに取り戻そうとした、ということで6カ月の投獄で済んだという。観客から酸をかけられたり、石をぶつけられたり、日本に来た時には赤色のスプレー塗料を吹き付けられそうになった。よって何度もの修復作業を受けた。現在ルーヴル美術館で防弾ガラスに守られて公開されている。


  モナ・リザの脣もしづかなる暗黒にあらむか戦はきびしく
  なりて                 斎藤茂吉


  モナリザに足らふ思ひに歩む街昨日過ぎにしパリー祭のあと
                      千代国一
  薬種商モナ・リザを商標として薬効かざればしぶとく栄ゆ
                      塚本邦雄
  モナ・リザにかかはりし男數人をあはれみつ梅雨寒(つゆざむ)
  の朝焼                 塚本邦雄


  膳所(ぜぜ)の森に雪ふる時はモナ・リザの絵画のうしろの
  森よりさびし              香川 進


  モナ・リザの背景にして昏みつつあふれたる水のゆくへ
  知らずも                小池 光


  モナ・リザのうしろすがたを見し人よわれその人の城に
  泊まりき                大滝和子