天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新春の江ノ島

江ノ島奥津宮にて

 児玉神社の参道には、紅白の幔幕が張られていた。辺津宮エスカレータ降り場の右手には、龍神の派手な像が建てられ、池の片側に銭洗いの場ができている。中津宮には茅の輪が置かれていた。茅の輪といえば、夏季の名越の祓の際に用意されるものだが、中津宮のものは最近一年中置いてあるようだ。奥津宮の山田検校像の横には、梅の花が咲き初めていて、像の顔や胸に薄く影を落としていた。
 サムエル・コッキング苑ではいろいろなチューリップの鉢植が置かれて、艶やかな花がはや初夏の風情を感じさせる。


     めぐり見る詩碑歌碑句碑や島の春
     丈低き歌碑読みをれば笹子鳴く
     鵯が啼きて飛び立つ石蕗の花
     龍恋の鐘打つ岡や水仙
     検校の御顔に映る梅の花
     香を嗅ぐや検校像に梅の影
     ひひらぎの花のつぼみや鋏塚


  鳴きやみて地に降り来たるうぐひすの姿撮りたり
  春の僥倖


  水仙の花に顔よせ香をかげば突如鳴りたり龍戀の鐘
  江ノ島に今も使はれ黒く立つ明治の郵便差出箱は