天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

立春を詠む(1)

アオキの実

 立春二十四節気の第一番目で、節分の翌日。陽暦で二月四日ごろ。


  ひさかたの天(あめ)の香具山このゆふべ霞たなびく春立つ
  らしも             万葉集・柿本人麿


  袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ
                   古今集紀貫之
  春立つといふばかりにやみ吉野の山も霞みてけさは見ゆらむ
                  拾遺集壬生忠岑
  出づる日のおなじひかりに四方の海の波にもけふや春は
  立つらむ                藤原定家


  さほひめの霞の衣うちはへて袂ゆたかに春や立つらむ
                      宗良親王
  たはやすく風吹きかはる春たちぬ榛(はり)のたり花青み
  そめつつ                吉植庄亮