天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

探梅行―三渓園―

横浜三渓園にて

 横浜でも雪掻き後の残雪が道の両側に積まれている。三渓園では道路以外の場所には雪が残っていた。また三重塔への道は通行止めになっていて上れなかった。雪を被った聴秋閣、池にかかる橋、そこここに立つ石燈籠などの風情は、日本庭園の良さを見せてくれる。あちらこちらに梅の花が咲いているが、蝋梅以外はまだ満開ではなかった。二月末から三月初めが見ごろになるのだろう。


     をさな児がよろこび歩く雪の道
     手を引くを拒むをさな児雪の道
     残雪やもみぢ落葉の艶めける
     雪解の水のせせらぎ麗しく
     軒先に波紋映すや春の池
     白梅の下に青める茶筅
     湯気を吐く黒き茶釜の囲炉裏かな
     三重ノ塔垣間見ゆ梅の花
     猫の日向ぼこするベンチかな
     侘助の花の蜜吸ふ目白かな
     白き花つぼみは赤き臥龍
     村興し恋待莟は蕗の薹


  CMに出づる選手の成績の平凡なるをあやしむなゆめ
  雪掻の雪に腰まで隠れたり旧東海道松並木の碑は
  雪残る駅の鉄路によこたはるガソリン専用貨車の
  つらなり


  三重塔を見上ぐる池の面に鴨の水脈ひく芦刈小舟
  枯蓮の一本もなき池の面に鴨の憩へる芦刈小舟
  なつかしきこゑの出どころ目に追へば侘助の枝目白が
  とまる