天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雪見(2)

俣野別邸庭園にて

 俳句には雪見や雪見酒の作品が多い。雪見舟に乗って雪見酒を酌むといった経験をぜひしてみたい。


     いざさらば雪見にころぶところまで    芭蕉
     炉開きや雪中庵の霰酒          蕪村
     比叡一つ前に置たる雪見かな       乙州
     大藪の横たふ嵯峨の雪見かな     市の瀬尺水
     しづかにも漕ぎあがる見ゆ雪見舟    高浜虚子
     門を出て行先まどふ雪見かな      永井荷風
     雪見酒ひとくちふくむほがひかな    飯田蛇笏
     鶴の舞ふ盃はよし雪見酒        山口青邨
     なにくれと雪見の旅の身の廻り     富安風生
     おのづから雪見酒とはなりにけり    児玉南章
     しばらくして雪見障子の閉ざさるる    桂信子
     船頭の唄のよろしき雪見かな      斎藤梅子
     余部の鉄橋渡る雪見汽車         関口勉
     二艘行く雪にまぎれて雪見舟      川崎展宏
     雪見酒鶴にはなれぬ男かな       角川春樹


 なお大雪の災害を詠んだ作品を探しているが、見当らない。