天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山桜を恋う(2)

東逗子・神武寺にて

 人で混み合う花の名所は苦手である。あまり知られていない山中の山桜を静かに愛でることを好む。西行の心境というべきか。天気が良くなりそうなので、東逗子の神武寺に行ってみた。ここの山桜が気に入っており、今迄にも何度かこのブログでとり上げている。多数あるわけではないが、丈高く枝を張っていて、山路から見上げる花が見事。例年は早めに出かけているが、今年は遅くなってしまった。案の定、山桜は散り始めて、葉が目立つ。神武寺の鐘楼の下には躑躅が咲いていて建物とのコントラストが美しい。


     神武寺の山門くぐる山桜
     西行の心を訪はむ山桜
     見上ぐれば雲にまぎるる桜かな
     山桜竹からからと鳴りにけり
     大鐘の垂れたる無聊山つつじ
     まぐはひの鳩見る駅の花ふぶき


  岩肌のあらはになりてすり減りし路にキブシの
  花の散り敷く


  からからと鳴る竹林の空に咲く風にあやふき
  山桜花


  神武寺の花やいかにと訪ひければはや葉桜の
  ゑんぢ色なる


  西行の心はかくもありけむと花散り果てし山に佇む