天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

躑躅と花桃の山

城山かたくりの里にて

 相模原市城山のかたくりの里を今年も訪ねた。ただ今回は、ニホンカタクリの花の時期を少し過ぎていて見栄えがしなかった。その替りキバナカタクリが花盛りになっていた。また箒桃や躑躅の花が林立して華麗であった。


     花桃のピンク鮮し始業式
     咲き満てり山に立てたる箒桃
     丹沢の山なみ青き春霞
     相模線桜並木の長き道
     街路樹のはずれにひとつ紫木蓮


  中腹に咲きのこりたる山桜丈高くして人目を奪ふ
  おほかたのニホンカタクリ枯れ初めていま盛りなる
  キバナカタクリ


  かたくりの花咲く山に箒桃白やピンクがすぐ立ちて咲く
  大小の岩うちは咲くなだりにはさびれてしぼむかたかごの花
  うぐひすのこゑを向ひの山に聞く桃や躑躅やかたくりの里
  華麗なる花桃の下に枯れ初めて見るもわびしきショウジョウ
  バカマ


  それぞれの草木に名札つけられて躑躅も咲ける花桃の山
  花桃につつじも咲きてにぎはへる個人所有のかたくりの山
  老夫婦相携へてのぼりくる躑躅、三椏、花桃の山
  かたくりを見て来し人を引き留むる雪割草の小鉢ならべて
  美しき名前つけられ咲き出づる雪なき山の雪割草は
  卯月はやキバナカタクリ咲きみつる今日あたたかき
  かたくりの里


  ミツマタのつぼみあからむ山の辺に花の終りのニホン
  カタクリ


  かたくりの里の奥なる湖を囲める山に花咲きのこる
  連翹と菜の花ならび咲く畑にひときは高しソメイヨシノ
  耕してならせる畑にムクドリの群れて歩けるかたくりの里
  あたたかき春の日差しにバスを待つなごり尽きざる
  かたくりの里


  咲き残る桜の間(あひ)にかすみたりひときは高き大山の峰
  かたくりの里後にして相模線車窓にのぞむ大山の峰
  夜桜の見頃はつづく相模線さくら並木に提灯の垂る
  相模線の脇にひろがる葡萄棚春日に淡く若葉光れり