天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

さきたま古墳公園

稲荷山古墳

 ゴールデンウィークの初めに行田市に行って、この古墳群を見た。あいにくの雨で、あまり時間を割けなかったが、県立さきたま史跡の博物館に展示されている国宝の品々には迫力があった。その代表が金錯銘鉄剣である。
 前方後円墳や円墳がこの地区にまとまってある情景は、エジプトの王家の谷のようで異様である。稲荷山古墳と丸墓古墳の上には登れる階段がついている。
 万葉集には埼玉に関わる歌が三首ほどあるが、古墳はでてこない。


  埼玉の津に居る船の風を疾(いた)み綱は絶ゆとも言(こと)
  な絶えそね           万葉集・巻十四


     蛙鳴く丸墓山をめぐる濠
     たんぽぽの絮とぶ風の古墳群
     雨の中古墳にのぼる蛙かな
     背の白き蛙跳ねたり稲荷山
     雨に濡るる紅花水木古墳群


  稲荷山古墳の上にのぼらむと傘さしてゆく葉桜の道
  稲荷山古墳の上に佇めば春の嵐の先触れの雨
  鉄剣に刻める文字を読み解くに十年を経し最新科学
  金錯銘鉄剣の文字115金字かがやくガラスケースに
  火祭りの幟ながめてバスを待つさきたま古墳公園前に
  狼の痕跡は無し馬具、埴輪発掘されし古墳の中に