天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

芝桜

羊山公園芝桜の丘にて

 さきたま古墳群を訪ねた翌日、秩父市羊山公園の芝桜を見に行った。秩父電鉄の御花畑駅から歩いて牧水の瀧、武甲山資料館によってから芝桜の丘に行った。牧水の瀧には、若山牧水と妻・喜志子のそれぞれの歌碑が立っている。文字は喜志子の筆。


  秩父町出はづれ来れば機をりのうたごゑつゞく
  古りし家竝に             牧水


第十三歌集『黒土』(秩父の春)に収録されている。「秩父町にて少憩、其処より表秩父に出でむとして妻坂峠を越ゆ、思ひの外の難路なり。」と詞書あり。


  のび急ぐしたもえ草のあさみとりあやふくぞおもふ
  生ひ立つ子らを           喜志子


 武甲山資料館から羊山公園まではかなりの距離があった。おまけに自動車優先の山道でうんざり。芝桜は、北米原産のハナシノブ科の宿根草。春、毛氈を敷き詰めたように地面を覆って咲く。花の色には、白、淡紅、紅、青紫など。和名を花詰草という。


     芝ざくら遺影は若く美しや    角川源義
     紅白が丘を二分の芝桜      鷹羽狩行


  芝桜かがやき擬宝珠(ぎぼうしゆ)の若葉萌ゆ亡きも在るも
  等しく春の日の中           吉田正俊


     まん丸の羊が二頭芝桜
     武甲山無惨と仰ぐ芝桜
     山吹の花ちる路に蛇が這ふ