天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

柿若葉

横浜市俣野別邸庭園にて

 柿の若葉は黄緑の時が一番の見頃に思える。柿の葉は奈良県吉野では、鯖鮓をくるむのに使われる。柿葉鮓である。


     茂山やさては家ある柿若葉      蕪村
     しんしんと月の夜空へ柿若葉    中村汀女


  柿若葉目ざめ安らかに照り匂ふこの村の道を行き行くわれは
                      古泉千樫
  旦(あした)見つ昼見つ飽かぬ柿若葉夕べは胸にしむがごとしも
                      尾山篤二郎
  柿若葉水の面の如く揺らがしめ窓に一日を白きうすぎぬ
                      高安国世
  柿若葉ゆらし吹く風わが前に壁あるごとく引き返しゆく
                      関場 瞳
  柿の若葉は日を返しをり広き庭夫の育ちし家去りがたし
                      扇畑利枝