天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蛇苺

横浜市俣野別邸庭園にて

 バラ科キジムシロ属の多年草で田野の道端などで見かける。苺に似た赤い球形の実に毒はないが、渋みが強く食べても旨くないという。アジア南東部と日本全土に広く分布する。くちなわ苺とも。


     濡れ巖のしののめあかり蛇苺   松村蒼石


  蛇いちごほのかに赤しその君のその唇は吸ふよしもなし
                     吉井 勇
  草の上に心臓青く灯りけり蛇苺もて縁飾りすも
                     前登志夫
  われの内部の妬心覗いてしまいたる蛇苺踏みても踏みても紅し
                     平井 弘
  やさしさの限りも知らに降る雨にくちなはいちごこのくれなゐは
                     紀野 恵