天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

河童

横浜市舞岡公園にて

 「カワワッパ」から「カッパ」になった。想像上の動物で水陸両生。全身が灰色または青色で口はとがり、赤い髪を垂れ、頭上に水をたたえた皿、手には鋭い爪と水搔きがある。人馬を襲い、相撲とキュウリを好む。みずし、めどち、えんこ、かわこ、河太郎 などの呼び名もある。


  原稿用紙を鶴にカッパに折りたたむコタツの卓にもの
  書きあぐね            道浦母都子


  次の世は河童に生まれ抽象の遊びせん人間の時より愉しく
                    石井利明
  雨の夜は河童が来るぞ嘘ちゃうで玄関の前ぬたりとろん
  とろん               吉川宏志


  水垂りて芋銭が河童出歩くと闇の牛久をはなはだ偲ぶ
                    片山貞美
  一本の葦の重さに耐へかぬる 河童(かはわろ)がゆく
   芥川ゆく             岡野弘彦


  人間は到らざりけり清水崑ゑがく河童は甲羅のみ着る
                    中原綾子
  腕白の日がよみがへるふるさとの夕焼け童子 小川の河童
                    山名康郎